2026年4月2日に、日本経済新聞 電子版に掲載された「阪大発新興、『量子ビット』制御装置で新技術 安定動作に期待」という記事にて、キュエル株式会社の研究成果(こちらに掲載した論文出版に関するもの)について取り上げていただきました。
ご興味がある方は、以下のURLをご覧ください。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG301IA0Q6A330C2000000/
2026年4月2日に、日本経済新聞 電子版に掲載された「阪大発新興、『量子ビット』制御装置で新技術 安定動作に期待」という記事にて、キュエル株式会社の研究成果(こちらに掲載した論文出版に関するもの)について取り上げていただきました。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG301IA0Q6A330C2000000/
量子ビット制御装置の長時間安定動作を実証
デバイスレベル温度制御によりマイクロ波振幅・位相ドリフトを大幅抑制
【概要】
キュエル株式会社の栗本佳典エンジニア、大平龍太郎リサーチサイエンティスト、三好健文CTO(大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)特任教授)、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)の根来誠教授らの装置開発および研究グループは、超伝導量子ビット(注1)の制御に用いるマイクロ波(注2)信号の長時間安定化を実現する量子ビット制御装置「QuEL-1 SE」を開発し、その性能を実験的に実証しました。本研究では、位相同期回路(PLL)や増幅器などのアナログデバイスに対して個別の温度制御機構を導入することで、長時間運転時に問題となるマイクロ波信号の振幅および位相変動を大幅に抑制しました。24時間にわたり15チャネルのマイクロ波出力を同時測定した結果、振幅の標準偏差(注3)は0.09–0.22%(平均0.15%)、位相の標準偏差は0.35–0.44°(平均0.39°)に抑えられることを確認しました。これらの振幅および位相変動による単一量子ビットゲートのエラーは、量子誤り訂正で要求される典型的なフォールトトレラント閾値よりも十分小さいと推定されます。本成果は、量子コンピュータの長時間運転や大規模化において重要となる高安定マイクロ波制御技術の実現に貢献するものです。本研究成果は Review of Scientific Instruments 誌に掲載されました。
【発表内容】
量子コンピュータでは、量子ビットの状態を操作するためにマイクロ波信号が広く用いられています。特に超伝導量子ビットでは、マイクロ波の周波数、振幅、位相を高精度に制御することが、量子ゲートの高忠実度化に不可欠です。しかし、実際の制御装置では、位相同期回路(PLL)や増幅器、ミキサなどのアナログ回路の温度変化により、マイクロ波信号の振幅や位相が時間とともに変動する問題があります。これらの変動は、長時間にわたる量子計算や量子誤り訂正処理において、量子ゲートの精度を低下させる要因となります。研究グループは、この問題を解決するため、量子ビット制御装置 QuEL-1 SE(図1)において、各アナログデバイスの温度を個別に制御するデバイスレベル温度制御機構を導入しました。
このシステムでは、増幅器、PLL、ミキサなどの温度変化に敏感な部品に対して、サーミスタによる温度検出とヒーターによる加熱を組み合わせたフィードバック制御を行い、周囲環境の温度変動に影響されない安定した動作を実現します。
実験では、3台のQuEL-1 SE装置から出力される合計15チャネルのマイクロ波信号を1台のADCで同時測定し、24時間にわたる振幅および位相の変動を評価しました。
その結果、振幅の標準偏差は0.09–0.22%、位相の標準偏差は0.35–0.44°と非常に小さい値に抑えられることが確認されました。これらの変動は、温度制御無しの場合に比べて1/2以下であり、温度制御の有効性が実証されました(図2)。
また、この安定性が量子ゲートに与える影響に関しては、振幅誤差および位相誤差による単一量子ビットゲートのエラーはそれぞれ約2×10⁻⁶および約2×10⁻⁵と見積もられ、量子誤り訂正で想定されるフォールトトレラント閾値を十分下回ります。
これらの結果は、QuEL-1 SE が長時間にわたる量子計算においても安定したマイクロ波制御を提供できることを示しており、将来的な大規模量子コンピュータの実現に向けた重要な基盤技術となることが期待されます。

図1: QuEL-1 SEの内部写真。写真右側がアナログ回路部分で、茶色の四角形の部品がヒーターである。

図2: QuEL-1 SEのマイクロ波の振幅および位相の24時間測定のグラフ。青線が温度制御をした場合、赤線がしなかった場合の測定結果をそれぞれ示す。グラフから1時間程度の周期性が読み取れるが、これは実験室内の空調による温度変化と同期している。この周期性をもつ空調起因の変動が温度制御によって抑制されていることがわかる。
【論文情報】
【謝辞】
本研究は文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)「知的量子設計による量子ソフトウェア研究開発と応用(課題番号:JPMXS0120319794)」、科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)量子ソフトウェア研究拠点(課題番号:JPMJPF2014)、およびJST ムーンショット型研究開発事業(課題番号:JPMJMS226A)の支援を受けて実施されました。
【用語解説】
注1 超伝導量子ビット
超伝導回路を用いて実現される量子ビット。極低温環境で電流や電圧の量子状態を利用し、マイクロ波信号によって量子状態を制御する。
注2 マイクロ波(の位相および振幅)
量子ビットを操作するために用いられる電磁波信号。「振幅」は信号の強さ、「位相」は波のタイミングを表し、これらを正確に制御することで量子ゲート操作が行われる。
注3 標準偏差
測定値が平均値からどの程度ばらついているかを表す統計指標。値が小さいほどデータのばらつきが小さく、安定した測定結果であることを示す。
【問い合わせ先】
<研究内容について>
キュエル株式会社
エンジニア 栗本 佳典(くりもと よしのり)
E-mail:kurimoto@quel-inc.com
リサーチサイエンティスト 大平 龍太郎(おおひら りゅうたろう)
E-mail: ohira@quel-inc.com
<機関窓口>
キュエル株式会社 広報担当
E-mail:info@quel-inc.com
大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 企画室 プレスリリース窓口
E-mail: press_qiqb@ml.office.osaka-u.ac.jp
キュエル株式会社では、学生インターンを募集しています。
以下の内容にご興味がある方は、ぜひご応募ください。
——
量子ビット制御に関係する論文を読み解き、要点をスライドにまとめていただきます。また、論文で扱われた技術の実装を Python で実際に実装してもらいます。そして、インターン期間の最後に、取り組んでもらった成果の発表・キュエルのメンバーとの議論の場を設けさせていただきます。
候補となる論文については、キュエルからリストを提示させていただき、興味を持った論文を各自1本選んでいただきます。
【インターンシップ概要】
【募集要項】
【選考プロセス】
【応募方法・応募期間】
応募方法: 下記の必要書類をメールにて送付してください
応募締め切り: 2026年3月9日
送付先:intern@quel-inc.com
※ 件名は「【学生インターン応募】量子ビット制御」としてください。
【その他】
皆様のご応募を心よりお待ちしております!
キュエル株式会社は、2025年2月27日(金)に、内閣府および量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)の共催で開催される、「Quantum Startup Day 2026」に参加します。
ご興味のある方は、以下のウェブサイトをご覧ください。
・https://qstar.jp/archives/7985
2026年1月8日に、日経クロステックに掲載された「国産量子計算機の誕生秘話、研究者ら次々離脱 『冬の時代』しのいだ妙手」という記事にて、キュエル株式会社の創業の経緯について取り上げていただきました。
ご興味がある方は、以下のURLをご覧ください。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03444/122700002/
超伝導量子ビットの制御に関する研究成果が2026年1月6日にPhysical Review Research誌にオンラインで公開されました。
本研究では、個別制御配線が必要な現状の超伝導量子コンピュータのアーキテクチャ上の問題点を解消するため、1本の制御線で複数の量子ビットを選択的に制御できるパルス設計手法を提案しました。さらに、本手法を実際の超伝導量子ビット系に適用し、従来手法と同等以上の制御性能を保持しつつ、非標的量子ビットの励起を抑制することに成功しました。本成果は、将来の大規模超伝導量子コンピュータにおける制御配線数の削減とシステムの高集積化に貢献することが期待されます。
詳細は、以下の内容をご確認ください。
【論文情報】
【研究内容についての問い合わせ先】
キュエル株式会社
リサーチサイエンティスト 大平 龍太郎(おおひら りゅうたろう)
E-mail:ohira@quel-inc.com
時分割多重化によるイオントラップ電極制御を実証
―イオントラップ量子コンピュータの配線ボトルネックを解決へ―
【概要】
キュエル株式会社の大平龍太郎リサーチサイエンティスト、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)の三好健文特任教授、森榮真一特任研究員、大阪大学大学院基礎工学研究科の田中歌子講師(大阪大学QIQB兼任教員)、宮本真成大学院生、東京大学の野口篤史准教授、中村一平特任助教の研究グループは、イオントラップ(注1)量子コンピュータの大規模化における主要課題である電極配線および制御回路の拡張性(スケーラビリティ)の問題を解決する新たな手法として、時分割多重化(TDM: Time-Division Multiplexing)(注2)に基づく電圧制御方式を開発し、その実験的実証に世界で初めて成功しました。本成果を報告した論文は、その独創性と技術的意義が評価され、Applied Physics Letters誌のFeatured Articleに選出されました。さらに、本論文は、American Institute of Physicsが運営する科学広報メディア「Scilight(Science Highlight)」にも取り上げられ、国際的な注目を集めています。
【発表内容】
イオントラップ量子コンピュータは、高い量子ゲート忠実度と長いコヒーレンス時間を兼ね備え、量子コンピュータの実現において有力な物理系の候補の一つとされています。しかし、多数のイオンを制御するには、多数の電極を独立に駆動する必要があり、これに伴い デジタル・アナログ変換器(DAC: Digital-to-Analog Converter)(注3)を中心とした制御エレクトロニクス、配線、真空フィードスルーの数が急増します。現状の制御方式では、わずか数十個のイオンを扱う段階でも数百本の配線が必要となり、配線および制御回路のスケーラビリティ確保が大きな課題となっていました(図1左)。

図1:(左) 従来のイオントラップ量子コンピュータ向け制御方式
(右) 今回提案した TDM を用いた制御方式
この問題を解決するために、本研究グループは、TDM方式を用いた新しい電圧制御方式を開発しました(図1右)。この方式では、DACから出力されるTDM信号を高速スイッチとコンデンサで構成されたデマルチプレクサ(DEMUX)(注4)に入力し、各チャネルに対応する電極に適切な電圧を分配します。本研究では、図2に示すような2台のDACを用いた10チャネル制御システムを開発し、表面電極型トラップにおいて ⁴⁰Ca⁺ イオンの捕獲および輸送を実現しました。

図2:開発した TDM 制御システム
この成果は、大規模イオントラップ量子コンピュータの実現に向けて、電極制御回路のスケーラビリティを大幅に改善する基盤技術を提供するものです。今後は、デマルチプレクサの真空内統合や低温ステージでの動作検証を進め、さらなる高密度化および低消費電力化を目指します。これにより、将来的な大規模量子デバイス制御の実現が期待されます。
【論文情報】
【謝辞】
本研究は文部科学省 Q-LEAP(課題番号:JPMXS0120319794)、科学技術振興機構(課題番号:JPMJPF2014)、およびJST ムーンショット型研究開発事業(課題番号:JPMJMS226A, JPMJMS2063)の支援を受けて実施されました。
【用語解説】
注1 イオントラップ
電場を用いて原子イオンを真空中に捕獲する装置。
注2 時分割多重化
複数の信号を時間領域で分割して単一の経路で順番に信号の伝送および処理をする技術。
注3 デジタル・アナログ変換器
デジタル形式の信号データをアナログ信号として出力する電子部品。
注4 デマルチプレクサ
1つの入力信号を複数の出力チャネルに分配する回路。
【問い合わせ先】
<研究内容について>
キュエル株式会社
リサーチサイエンティスト 大平 龍太郎(おおひら りゅうたろう)
E-mail:ohira@quel-inc.com
<機関窓口>
キュエル株式会社 広報担当
E-mail:info@quel-inc.com
大阪大学基礎工学研究科 庶務係
E-mail:ki-syomu@office.osaka-u.ac.jp
大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 企画室 プレスリリース窓口
E-mail: press_qiqb@ml.office.osaka-u.ac.jp
東京大学大学院総合文化研究科 広報室
E-mail:koho-jyoho.c@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
弊社 CTO 三好が、IEEE International Conference on Quantum Computing and Engineering (QCE 2025) にて、東京大学との共同研究成果を発表いたします。
本研究では、スケーラブルなイオントラップ量子コンピュータの実現に向けた新しい制御アプローチを提案しております。
また本論文は、Quantum Technologies and Systems Engineering (QTEM) トラックにおいて Best Technical Paper Award 第3位を受賞しました (受賞論文一覧) 。
発表情報
大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)にて、主要部品・パーツやソフトウェアが全て日本製となる「純国産」超伝導量子コンピュータが稼働を開始します。
これは、QIQBの根来誠副センター長/教授、理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センターの中村泰信センター長、株式会社アルバックの清田淳也常務執行役員、アルバック・クライオ株式会社の斎藤政通参事、株式会社イーツリーズ・ジャパンの三好健文取締役、キュエル株式会社の伊藤陽介代表取締役、株式会社QunaSysの楊天任CTO、株式会社セックの内田諒主任、TIS株式会社の高宮安仁テクニカルエキスパート、富士通株式会社量子研究所の佐藤信太郎所長らの共同研究グループにより開発されたものです。
キュエル株式会社は、ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6 「スケーラブルな高集積量子誤り訂正システムの開発(プロジェクトマネージャー:小林和淑)」にて、これまでより集積性が高まった新型制御装置を開発し、「純国産」超伝導量子コンピュータに提供しました。
詳細は、大阪大学から出された以下のプレスリリースをご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2025/20250728_1
キュエル株式会社は、2025年7月29日(火)から8月1日(木)にコングレスクエア グラングリーン大阪にて開催される、「Quantum Innovation 2025」に出展します。
以下の内容を行います。
ご興味のある方は、以下のウェブサイトをご覧ください。
https://www.qi2025.jp/